プレゼントを作った次の日

野いちご

さて、プレゼントを作った次の日、急いで学校から帰ってくるまでは順調でした。それから母が晩御飯を用意するまでに渡そうと思って、すぐに意中の彼の家に向かいました。

 

しかし自転車で5分のその子の家に着いても、あっちへ行ったりこっちへ行ったりと通りをぐるぐる回っているだけで、面と向かって渡す決心がなかなかつきませんでした。

 

そんなことをしているうちにどんどん時間が過ぎ、周りからは煮物のいい匂いがしてきて、そろそろ帰らないと晩御飯に間に合わなくなると思いました。
でも、どうしても勇気が出なかったので、最後に考えた案はこっそり彼の自転車のかごに入れて帰ることでした。






 

その考えさえも「こんな形でいいのか!?」と自問自答を繰り返し、すぐに自転車かごにたどり着くことができず、じれったいというか、気が小さいというか、たぶん本当はどんな風に渡したらベストなのかわかっているのに、できない自分にもどかしさを感じて躊躇していました。

 

だけどそんな状態のまま、近所の人やお家の人とばったり!というのは嫌だと思い始め、やっと彼の自転車の所まで行くことができました。思い切って自転車かごにプレゼントを入れると、すぐに自分の自転車に飛び乗り、猛スピードで家にかえりました。

 

明日、どんな結果が待っていようと引き返せない不安と自転車を全速力で走らせたドキドキをしずめて家に入り、何事も無かったかのように夕飯を食べました。

 

その後も頭の中ではバレンタインのプレゼントを渡した結果を、考えたくないのに考えてしまうという状態が続き、眠りにつくまで頭から離れることありませんでした。